教えて!クエスチョン

設問は、青森西高等学校、七戸高等学校、大湊高等学校の810人の生徒さんに協力いただいたアンケートに基づいて設定しています。

医師・濱舘香葉さん(三戸郡田子町・「田子診療所」所長/「YELL」創刊号に掲載)に聞きました


濱舘香葉(はまだて かよ)さん
プロフィール

1977年南部町生まれ。
八戸高校から自治医科大学へ進学し、卒業後は県内各地の病院、診療所で勤務。2008年から田子町立田子診療所に勤務し、2010年に同診療所所長に就任。

Q.医学部はお金がかかりますか?

 一般の私立大学の医学部は結構かかると思います。ですが、私が勉強した「自治医科大学」は、卒業後9年間地域医療に携われば、授業料や入学金は一切免除されます。生活費は自前でしたが、私の学生時代には貸与(たいよ)金制度(現在は廃止)を利用したので、ずいぶん助かりました。

Q.医大を出てから医者になるためにはどのくらいの年月が必要ですか?

 一般的に医学部は6年制で、卒業後医師国家試験に合格し、医籍に登録すると医師になります。さらに臨床医(患者さんを診療したりする医師)として働くには卒後2年間の臨床(りんしょう)研修(いわゆる研修医)が義務付けられています。 臨床研修は初期研修とも呼ばれ、初期研修終了後は大学の医局に属したり、専門的な後期研修に進んだり、大学院に進学したりと医師としてそれぞれの道を歩むことになります。
 自治医科大卒の医師の場合は卒業後、地域医療従事が9年間義務付けられていますが、青森県出身者はそのうち2年間を初期研修、1年間を後期研修、残り6年間を地域医療に従事し、卒業後は青森県の決めた人事によって地域で働くことになります。初期研修は県立中央病院で行い、内科、外科、小児科など広く全般的に研修します。初期研修終了後は「指導医」(経験のある医師)がいてサポート体制のある医療機関で、地域医療に従事します。県内では現在、外ヶ浜中央病院、大間病院、六ヶ所の尾駮(おぶち)診療所となります。  
 卒後5~6年目に後期研修を行います。後期研修先は自分の希望で選択でき、専門的にさらに学びたい診療科で研修します。後期研修終了後は再び地域医療に従事し、診療にあたります。

Q.どのくらい勉強しましたか?

 高校は課題が多く、それをこなすので精いっぱいでした。弓道部や生徒会執行部にも所属していたので、勉強との両立が大変でしたが、医学部の受験は学校の勉強をしっかりやっていれば大丈夫でしたよ。
 むしろ大学に入ってからの方がたくさん勉強しました。1、2年生は「解剖学」「生理学」「生化学」「薬理学」「微生物学」などを勉強し、3年生は臨床の授業、4年生になると実際に診察です。私は寮生活で、学校と寮が同じ敷地内でしたので、提出レポートの作成が深夜にまで及び、朝方に帰るような時もありました。
 でも、何と言っても一番勉強した時期は、国家試験の受験勉強。試験は内科、外科など全ての科にわたり、3日連続で約500問の設問が出題されました。こうなるとまさに体力勝負でしたね。

Q.研修医の頃は大変でしたか?

 上からの指示がないと、何もできない状態がつらかったです。目の前に発熱のある人がいても、私が薬を処方していいのか分からず、上司に電話したこともあります。やったらやったで、やらなければやらないで怒られる。頃合いがつかめないし、経験値もないので、患者さんの「容体が安定」の程度もわからず、休みでも息抜きができませんでした。いざ臨床の場になると、医学的な知識だけではわからないことだらけでした。

Q.この仕事で一番大切なこと、必要なスキルは何ですか?

 人と話すことだと思います。病状の説明や患者さんへの声掛けなど、話すことが全てなんですよ。それから診察の際、体の具合を伝えきれない患者さんからは、聞き出す力も必要になってきます。
 常に勉強ですし、研究の幅も広がるので、好奇心があって何でもやるぞ、というタイプが向いていると思います。だから勉強が嫌いな人は難しいかな。  
 その地域の人の生業(なりわい)も知っておくと便利です。田子町はニンニクをはじめ農家が多いんですが、実際の農作業のことなど、患者さんの生活の様子を理解しておくと、南部弁で言う「こわい」(痛い)原因が推測しやすくなります。
 田子診療所は入院患者もなく、急患もほぼないのですが、それでもいつ何が起こるかわからない不安がある。例えば、歩いてくる患者さんの中にも一刻を争うケースがあるし、救急車を呼ぶと恥ずかしいからと重症でも軽トラの荷台に乗ってきたりする患者さんもいます。皆さん我慢強く、じっと待っていますから、様子が変だと看護師が察知したら診療を早めたり、重症の場合は適切な病院を紹介したり、臨機応変の対応が必要で、気は抜けません。

Q.やりがいは何ですか?

 守備範囲を広く持てて、地域の人たちと関われることが魅力です。ここは町立の機関なので、医師の仕事も外来診療ばかりでなく、町の職員として会議に出席したり、老人保健施設の施設長としての仕事や老人ホームの嘱託医、学校医などの仕事もしています。
 平成19年、青森県の医師不足の影響もあって、この病院も60あった病床がなくなりました。常勤医師は私一人だけで、地域医療の環境もますます厳しくなってきますが、私も今年で4年目、町の人たちとも気心が知れてきて、ようやく一人ひとりを思いやる医療ができるようになってきました。病気やケガのナンデモヤさんである「総合医」、頼りになる地域のかかりつけ医として、これからも前向きな姿勢で医療に励んでいきたいですね。

田子町立田子診療所

〒039-0201 三戸郡田子町田子字前田2-17

TEL:0179-32-3171

FAX:0179-32-4253

診療時間:8:30~17:00 休診日:土日祝日

http://www.takkohp.takko.aomori.jp/