教えて!クエスチョン

設問は、青森西高等学校、七戸高等学校、大湊高等学校の810人の生徒さんに協力いただいたアンケートに基づいて設定しています。

理学療法士・岩谷奈津子さん(弘前市・「弘前脳卒中・リハビリテーションセンター」)に聞きました


岩谷奈津子
(いわや なつこ)さん
プロフィール

1981年平内町生まれ。
青森東高校から県立保健大学・理学療法学科へ進学、卒業。2004年、黎明郷リハビリテーション病院へ勤務。翌年、弘前脳卒中・リハビリテーションセンターに移り、現在に至る。

Q.理学療法士になるための学校では、どんなことを学びますか?

 理学療法士とは、身体に障害のある方に基本動作能力の回復を図るため、治療体操などの運動、電気刺激、マッサージなどの物理的な療法を施す人です。子どもの頃から、白衣を着た医療関係の人に憧れがありましたが、本格的に考えたのは高校3年生の時。医療関係の学科がある県内の進学先を探していたら、ちょうど県立保健大学が新設される年だったので受験を決めました。
 理学療法士の学校は4年制大学、3年制の短大、3・4年制の専門学校などがあり、県内には県立保健大学、弘前大学医学部保健学科、五戸町の東北メディカル学院の3校があります。カリキュラムは、各学校によって異なるので、よく調べて自分にあったタイプの学校を選ぶことをおすすめします。
 私の場合1年次は「解剖学」や「生理学」などの座学が中心で、2年次になると実習や実験が多くなり、3、4年次には、年に2、3回、1、2ヵ月ずつの臨床実習があります。実質最後の4年目のほぼ半分は医療現場での実習で、県内だけでなく秋田や函館の病院へも行きました。

Q.理学療法士の資格試験は難しいですか?

 理学療法士の試験は国家試験で、解剖学、生理学、運動学、理学療法などから基礎知識を問う「基礎問題」と、具体的な事例・症例に答える「専門問題」の筆記試験です。卒業年の秋口から授業でも受験対策が本格的になり、模試もあります。合格率は一時9割だったのですが、医療系の学校が増えたので試験も難しくなり、今は7割台に下がっています。
 就職活動は夏あたりから始め、卒業見込みと国家試験の合格前提で採用されます。万一卒業できなかったり、試験に落ちた場合は、その施設によって待遇がわかれ、内定していても取り消しという場合もあります。

Q.仕事内容を教えてください。

 私の担当する患者さんは、1日に約7人です。朝8時には出勤し、患者さんの夜間の様子を電子カルテでチェックしてから、1人当たり40分~1時間のリハビリメニューをこなしていきます。
 訓練では寝返る、起きる、座る、立つ、歩くといった基本的な動作の練習や筋力トレーニングなどをします。痛みのある人には必要に応じて電気刺激、温熱・寒冷療法、マッサージのほか、炭酸水に患部をつけて血液の循環をあげたりする炭酸浴なども実施します。
 まず担当の患者さんの身体機能、動作能力を評価し、問題点をあげ、その人に合った目標を設定します。実際には患者さんの体を触って、会話をしながら行うので、コミュニケーション能力の優れた人が向いていると思います。私も人見知りでしたが、この仕事に就いてから変わったように思いますね。
 医療現場での連携は必須で、カンファレンスといって、家族、本人、看護師、医師などと一緒に、目標や方針を話し合いながら、実際のリハビリを進めます。

Q.作業療法士との違いは?

 理学療法士は、脳卒中の分野では立つ、座る、歩くといった比較的大きい動きの獲得を目標に全身的な運動を行ったり、主に下肢(足)の麻痺の回復を目指した運動を行います。一方で作業療法士は、生活機能を高めることを目標に日常生活に即した動作、たとえば着替えや家事、字を書くことなどが出来るように指導を行ったり、主に上肢・手指(しゅし)の麻痺の回復を目指した運動を行います。患者さんの目標に応じて、理学療法士・作業療法士が似たような練習内容を行うこともあります。
 脳卒中以外では各々整形外科の分野で働いている療法士もいますし、その他に理学療法士はスポーツの分野で、作業療法士は精神科の分野でも活躍しています。
 ほかに言葉が出なくなった人、うまく言葉を発せられない人、嚥下(えんげ)といってうまく飲み込みができない人などを担当する「言語聴覚士」などもリハビリ分野で活躍しています。

Q.指導していて難しいと思う点と心がけていることを教えてください。

 リハビリの回復目標は、障害の程度によって様々ですが、目標が高すぎて本人が挫折したり、自分が障害を持ったことを受け入れられない人もいます。患者さんが心の底を打ち明けられるように、家族の話などでリラックスさせ、悩みを聞きながら進めていきます。
 患者さんのペースを見極められず、オーバーワークさせて次の日に疲労を残してしまったり、逆にスローペース過ぎて回復が遅かったりするので、判断がなかなか難しい。後遺症の影響で、病気になる前の健康だったころと同レベルまでは回復できない人もいたり、モチベーションの維持が大変だと思います。せっかく回復の兆しがあっても、脳卒中再発などでさらに深刻な障害になることもあるため、患者さんの状態をしっかりと見極めてリスク管理することも重要だと思います。
 リハビリは何と言っても患者さん本人が一番大変なので、その不安を支えながら、強制するのではなく、本人自らが治したいという気持ちになれるよう心がけて指導しています。

Q.どんな時にやりがいを感じますか?

 担当した患者さんが元気に退院し、自立した生活をして、趣味などの楽しみを見つけて明るく前向きに生きている姿を見ると、心からよかったなと感じます。
 訓練に使う機械も療法も日々進歩するので、常に勉強です。理学療法に関連する分野も広がってきており、例えば加齢による心身機能の低下などを防ぐ「介護予防」の分野でも理学療法士が活躍しています。
 青森県は脳卒中発症率が全国トップクラスなので、発症した方には社会生活への復帰を応援するのはもちろんですが、これからは脳卒中を発症しないような取り組みにも積極的にお手伝いしていきたいと考えています。

財団法人黎明郷

弘前脳卒中・リハビリテーションセンター

〒036-8104 弘前市大字扇町1丁目2-1

TEL:0172-28-8220

FAX:0172-28-7780

http://www.reimeikyou.jp/hsc/