教えて!クエスチョン

設問は、青森西高等学校、七戸高等学校、大湊高等学校の810人の生徒さんに協力いただいたアンケートに基づいて設定しています。

管理栄養士・豊川麻利子さん(五所川原市「ケアサービス たんぽぽ」)に聞きました


豊川麻利子(とよかわ まりこ)さん
プロフィール

1983年五所川原市生まれ。
木造高校卒業、青森中央短期大学食物栄養学科を卒業後、青森市の「なかよし保育園」に1年間勤務、2005年からケアサービスたんぽぽに勤務。

Q.栄養士になるためにはどんな勉強が必要ですか?

 昔から食べることが大好きで、将来は食物(しょくもつ)関係の仕事がしたいと、栄養士の道を選びました。短大では、食品や栄養に関する基礎知識はもちろん、食物の体内における代謝の仕組みなどを学ぶ「生化学」、臓器や筋肉、骨などの構造や生活習慣病などの病気について学ぶ「病気の成り立ちと症状」、病気の人への指導方法を学ぶ「臨床栄養学」など、医学的要素も含んだ勉強をしました。
 なんといっても楽しかったのは調理実習。週に1度はあったので、次は何を作るのかいつも楽しみでした。それから夏休み中に給食を提供する施設での実習がありますが、栄養士さんの仕事の見学や献立作成、給食調理の補助などを体験しました。
 私が学んだ青森中央短期大学では数々の資格が取得でき、私は栄養士の他に、社会福祉主事任用資格(社会福祉施設などに勤務)、司書(図書館などに勤務)、フードスペシャリスト(栄養面より食品そのものの歴史や盛り付けなど食品を楽しむ技術)を取得しました。
 栄養士の資格があると、保育所、老人ホーム、病院などの給食を提供する施設や保健所にも勤めることができます。

Q.栄養士と管理栄養士の違いは何ですか?

 栄養士は養成校を卒業すれば、都道府県知事の認定の元に資格が取得できますが、管理栄養士は4年制の「管理栄養士」養成校を卒業するか、4年制の「栄養士」養成校を卒業後1年の実務経験、または3年制の同校ならば2年、2年制の同校ならば3年の実務経験を積むと、受験資格が得られ、その後「国家試験」をパスしてはじめて取得できます。
 栄養士と管理栄養士は率直に言うとお給料が違うんです。「配置加算」という加算金の額が、管理栄養士の方が高くなります。管理栄養士の資格があると、医師の指導の元に糖尿病など、在宅での栄養指導も可能ですし、大勢の人を集めて「集団栄養指導」の講義もできます。栄養士は給食を出す施設などで調理員の指導をしますが、管理栄養士はさらにその栄養士を指導する立場にいます。仕事内容は似ていますが、管理栄養士の方が守備範囲が広く、待遇面もよくなります。
 仕事と受験勉強の両立は大変でした。国家試験では短大で習ったことが基本ですが、それを掘り下げた現場での問題、例えば給食管理、福祉、病院施設に関する設問が出てきます。私は4度目にして、2011年の7月に合格しました。
 学生の頃は書いて覚えることができたんですが、年齢と共に覚えにくくなりますね(笑)。私はインターネットでクイズのように覚えられる問題を活用しました。

Q.具体的な仕事の内容を教えてください。

 施設の利用者の健康状態に合わせて、材料の値段や栄養、利用者の嗜好、料理の見栄えを考慮して献立を作り、調理員を指導しながら一緒に調理も行います。
 私が勤務しているケアサービス「たんぽぽ」のようなアットホームで小さな施設では、一人一人の利用者に目が届き、誕生日などの行事も利用者の性格や好みを考えながら丁寧にできます。大きな施設になるとスタッフが多く、設備面も充実しており、何か起きても態勢が万全だという特長があると思います。

Q.心がけていることは何ですか?

 お年寄りには「誤嚥(ごえん)」や「嚥下(えんげ)障害」といって、飲み込みがうまくできない場合があり、人によってメニューを変えたり、細かくきざんでとろみをつけたりするなどの工夫をしています。
 旬のもの、行事食、青森県にちなんだ地域の物などを出すように心がけています。「かぼちゃもち」や西北五地方でよく食べるシソの実が入った漬け物「と漬」、また彼岸にはおだんごなどを出します。私はおばあちゃん子だったので、こういう食事はなじみ深く、皆さんも「懐かしいな」と喜んで食べてくれるんです。
 せっかくお年寄りが集まっているのだから、一人でいる時より楽しく食べられるように心がけています。利用者の皆さんの「おいしかった」という言葉が何よりです。

Q.どんな人が栄養士に向いていますか?

 食べるのが好きな人かな。それから福祉や医療の現場では「多職種協働」といって、看護師、介護士、栄養士など、いろんな職種の人同士の協力が求められています。現場スタッフとはもちろん、利用者や家族の方とも仲良く話せる人が向いていると思います。
 大学の先生が「本当のおいしさを知っている」とは、「その地域の味、伝統の味がわかる」ことだと講義してくれました。その時は何となく聞いていましたが、実際に食の現場にいると、私が食べたことのない地域の料理をリクエストされて、周囲の人に聞きながら作ることもあり、舌の記憶ってすごいなと実感します。私も青森の味をたくさん理解すれば、利用者の皆さん一人一人を理解できるのかなと思い始めています。
 食というのは、その人が生まれてこの方ずっと口にしてきた履歴書のようなもの、人生の集大成だと思うんです。例えば山菜の"ミズ"の皮むきは時間がかかるんですが、とっても上手なおばあちゃんにいつもお願いしています。手先を使った作業は脳も活性化しますし、みんなでやればコミュニケーションツールとして楽しくできます。
 この地域では、「赤めし」とか「すしこ」と言って、もち米にキャベツやキュウリを入れ、しその葉で色をつけた料理をよく作るようです。そういう教科書にはなかなか載っていない地元のメニューを、人生の先輩であるおばあちゃんたちに教わりながら、今後は子どもたちにも「食育」を通して地域の味、本当のおいしさを伝えていくのが私の使命かなと感じています。

ケアサービス たんぽぽ

〒037-0202 五所川原市芦野200-267

TEL:0173-54-2770

FAX:0173-54-2771